『TERAYAMA DAIDO』Shuji Terayama + Daido Moriyama[英][日](bookshopM/2016年)
『TERAYAMA DAIDO』は、『スポーツ版裏町人生』寺山修司(新評社/1982)の全3章28節の中から5つの節を抜粋し、森山大道の写真と組み合わせ再編集されている。『DAZAI DAIDO』と同コンセプト、同フォーマットを用い、[英][日]同じ頁構成なるよう文字組を調整している。
文章と写真の関係というのは不可解で、一枚の写真が文章を読み解く大きな手がかりになることもれば、一行のキャプションが写真をまったく別物にすることもある。雑に言ってよければ、文章は映像を、写真は文章を、それぞれ内包しているため、組み合わせによっては、パンと納豆にもラーメンライスになりえるからだろう。それゆえ、組写真で何かしらを綴ろうとする写真集に文章を並べると悪手で終わることが多い。
『TERAYAMA DAIDO』は、寺山の文章内容に合わせた写真セレクトと構成になっている。森山の本としては実にオーソドックスな構成という印象を受けるが、寺山の文章をこれだけ多用しつつ、写真集としての訂を崩していないことに驚愕する。写真の一点一点が、文章の一行一行が、ラーメンライスのようにしっくりと関係し合い、書籍から見ても写真集から見てもこれまでにないつくりになっている。町口の本を仕上げる能力の高さと汎用性が伺える一冊だ。
表紙には森山大道の最も有名な一枚「三沢の犬」を使用した。