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ブランディング

③〈ブランディング〉

水先案内人
W+K TokyoはGoogle日本初のCMを手がけた。Googleは、米国では「good company」という評価を得ていたが、日本では「技術的」「冷たい」「とっつきにくい」というイメージが浸透していた。W+K Tokyoはそれをくつがえした。
企業が国外市場に進出する際、W+K Tokyoは水先案内的な役割を担うことが多い。グローバル社会が進んだいま、海外文化の情報はアクセスしやすい。誰でも知った気になれる。しかし、そこに理解はあるのか。文化的理解の深度、それがW+K Tokyoが他社と一線を画しているポイントだと長谷川は自負する。

⑪ 〈ブランディング〉


TYPEプロジェクトのカタログ

TYPE
フォントをモチーフにデザインされた眼鏡シリーズ、TYPE。ロゴや広告やキャンペーンといった一般的な方法でなく、商品開発そのものをブランディングに直結させた試みとして新しい。また、W+Kにおけるプランニングの役割がよくあらわれているケースだろう。
TYPEはかならずしも商品を売ること自体が目的ではない。TYPEプロジェクトのコンセプトは「メガネを選ぶ経験を新しくしたい」。眼鏡に、フォントというキャラクターと、ミディアム/ボールド/ライトという太さのファミリーをあたえる(眼鏡業界初の試みである)。それによって、商品の消費体験自体を媒体として広告化したのだ。
TYPEは海外で販売されていないが、ニューヨークADC賞を受賞するなど、広告として評価されている。
「AppleのUIはブランディング」「広告はプロダクトやサービスに溶けていく(商品の購入方法、支払い方法などの劇的な変化)」と語る長谷川の実践としてわかりやすい。

⑭〈ブランディング〉


『STARS AND STRIPS』Katsumi Omori(bookshopM/2009年)

レーベルとしての統一感
「表紙のパターン、2種類くらいだよね」(松本)
「いや5種類はある」(町口)
ブックショップMの書籍は、ノーブルでシンプルで似た印象のものが多い。長く静かに置かれ続けるようなデザインだ。8年に渡り「Paris Photo」に出店してきたことで、おのずと導かれたデザインだと町口は言う。「いろいろあると沈んじゃうんすよ、店としても、レーベルとしても」。「Paris Photo」のような様々なデザインの書籍が並ぶ場所ではレーベルとしてカラーのない出店者は印象が薄くなる。統一された表紙デザインはそれ自体がブックショップMのブランディングとして機能している。現在、ブックショップMはアジアを代表するレーベルとして認識されるまでになった。
一般的な取り次ぎによる短期集中配本型の書籍には、目を引く工夫や過剰なデザインが求められる。逆に、専門書店などを中心に配本される書籍には、長く置かれる商品性が必要だ。紙質、めくり感、綴じ具合、など感覚に訴えるデザインは効果的だと町口は言う。不織布や小口のギザ入れなどは、ブックショップMの代名詞になりつつある。
「Paris PhotoがなかったらブックショプMは続いてなかったよなぁ」(町口)