⑧〈用紙〉

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『横山裕一 ルーム』横山裕一(ハモニカブックス/2013)

アタリと仕上
著者の横山裕一から「ザラザラの紙でコンビニで売ってる安い漫画みたいにしたい」と依頼される。
「横山裕一の本なら、逆の質感が良いのではないか」と考え、ぺらぺらのアート紙の造本を提案した。
服部にはめずらしく用紙セレクトが際立つ造本であるが、服部のグラフィックであることは一目でわかる仕上りになっている。
服部は「アタリと仕上げ」の感覚がいい。仕事に手を付ける初期の段階で、こんなカンジ(もしくはこんなカンジにしたらダメ)というアタリ感と、その判断を制作過程のさまざまな要因に引っ張られずに最終形態までブレることなく仕上げる能力だ。
ぺらぺらアート紙を綴じることで生まれるヌメリ具合や、本来あってはならないレベルの激しい裏写りなど、それ単体では悪しきモノとされる要因の〝使い道〟を、制作過程を通してしっかり見分け仕上げに反映させる。

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