①〈フォント〉

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『ホンマタカシ ニュー・ドキュメンタリー』(金沢21世紀美術館/2011)

[MSゴシック]
服部は[Futura]と[中ゴシック]を多用する。どちらも一般的な書体で、書体選定としてはごくごく普通と言える。
『New Documentary』『拡張するファッション』でメインコピーに選ばれた書体は[MSゴシック]。Windowsのモニタ表示用に開発されたこの書体は、グリフやカーニングの完成度が低く、印刷物に使われることを念頭に置いていないフォントだ。
「これくらいの悪しきモノを扱えないとダメだなと思って」
「字間と行間でどうにでもコントロールできる」
「書体はどうでもイイちゃイイ」(服部)
この考え方は、[Futura]や[中ゴシック]にも当てはまるのではないだろうか。
服部の書体選択からは、好きな書体であるとか、書体そのものへのこだわりとか、デザイントーンやツールの目的に合わせて、といった形跡は見られない。印刷や用紙とおなじく、当たり前のものを当たり前に使い度肝を抜く、服部の基本姿勢は書体設定にも色濃く現れている。

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