⑬〈用紙〉


『Self-image』蜷川実花(bookshopM/2014年)

紙を抄く
『Self-image』の本文は、王子Ftex[OKミューズガリバー グロスCOS ハイホワイト 菊Y目135kg]だ。原美術館で行われた展覧会『蜷川実花:Self-image』(原美術館/2014年)の図録では、[OKミューズガリバー]全7種を使用するという大盤振る舞いだ。
[OKミューズガリバー]は菊のY目T目をそろえる充実したラインナップのファインペーパーで、町口はこの用紙開発に携わった。色味/しなり具合を決定する役割を町口は担当した。
[OKアドニスラフ]の開発にも町口は携わった。[OKアドニスラフ]は、新聞用紙専門の苫小牧工場の製造ラインを使い、木材パルプを材料とした安価なラフ非塗工紙だ。軽さ、印刷特性、そしてその風合いから高い評価を得ており、ラフ非塗工紙独特の「紙焼け」という悪しき特性もまた良しとされている。また、確実にシェアを広げるpod印刷機「Indigo」は、適正用紙の少ない気難しい印刷機としても有名だが、「OKアドニスラフ80」は「印刷適正優良」と判断された。
[アンデス][OKハイランド][かなりや]といった、80年代に流通していた〝使えるラフ非塗工紙〟は、現在はほとんどが廃盤となっている。[OKアドニスラフ]は現在の〝使えるラフ非塗工紙〟だろう。

町口のよく使う書籍用紙
キンマリ/OKプリンス/金藤片面/OKシュークリーム/いしかり
並べるとどれもいたって一般的な用紙だ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です