①〈構成〉

『Daido Moriyama:auto Portrait』 Daido Moriyama(bookshopM/2010年)
『Daido Moriyama:auto Portrait』 Daido Moriyama(bookshopM/2010年)

『Daido Moriyama:auto Portrait』
この写真集を作るにあたって町口は、森山大道から300枚の四つ切りプリントを預かった。町口はすぐに、「写り込み」と「影」の写真で構成することを決めた。次に「ベースフォーマット」を決めた(写真の総点数36枚のうち半分の18枚を「影」とし、それを9枚ずつ縦位置と横位置にする)。写真のセレクトにかかったのは、その後である。——これはある意味で、乱暴な写真構成だ。なぜなら通常は、まずプリント群(本作の場合、300枚のプリント)から使用プリントをセレクトし、その「素材」の点数や内容に合わせて「箱」のデザインを決めていくものだからだ。しかし町口の本の作り方は、『Daido Moriyama:auto Portrait』に限らず、「写真集としてやりたいこと」が先行することが多い。町口は「素材」よりも「箱」、つまり「写真」よりも「写真集」に興味があるのだろう。パティシエが美味しいオレンジピールの作成を目指すなかで、オレンジに精通していき、しだいに興味がオレンジそのもののほうへ移っていく。町口の写真への興味はそういったものかもしれない。

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